・多様性を尊重するための方法を知りたい
先日、2週間に1回のペースで教員仲間と一緒に行っているサークルで『多様性を尊重するとはどういうことか』を議論しました。
多様性を尊重する場面は学校の中でものすごくたくさんあると同時に、それぞれの場面で常に“多様性アンテナ”を高く張っておかないといけないなあということを感じました。
・『多様性を尊重するとはどういうことか』:議論を通して感じたこと
この記事を書く僕は、以下のような人間です。
「小学校の教員をしている」
「それぞれの子にあった教育について考え続けている&考えることが楽しい」
僕は休みの日でも暇さえあれば教育のことについて考えています。もうかなり趣味的な領域に達していて、考えることそのものが面白く、そのことによって自己変革ができるので、もう最高です。
目次
『多様性を尊重するとはどういうことか』:議論して出てきた問い
議論の中で話題にあがったことを3つほど紹介します。
結論は出ない“問い”です。
①多様性と相反する子どもの発言をどのように扱うか
②テストで良い点数をとることが学力であるという価値観をどのように扱うか
③授業で教師の予想を超える考えをどのように扱うか
順番に説明していきます。
①多様性と相反する子どもの発言をどのように扱うか
〇〇区の政治家の発言でも大問題となった同性婚について
子どもたちに、「同性婚てどう思う?」と聞いたとき、「男と男が結婚するなんてちょっと考えられない」というネガティブな考えが出たらどのように扱えば良いか?
ひとまず僕は、ここが教師の腕の見せどころであり、授業で勝負するところだと感じます。その子の考えも認めつつ、それでも色んな手立てを駆使し、決して価値を押しつけることなく、子どもたちが
「色々な愛の形があって良いね」とか
「好きな人と結ばれることが一番」という考えが出てきて、子どもたちの中で同性婚の意義や価値について気づいていけると良いです。
一方で、授業の最後になっても「でも、やっぱ同性婚はちょっとなあ」と感じる子については、それはその子の考えであるため否定してはいけません。その子にとって大切なことは自分の考え以外の考えもあるということを理解するのも多様性を尊重すると言えます。
それと、その子は授業ではその考えだったとしても、これから少しずつ考えがほぐれていく可能性だってあります。気長に待つことも大切です。
また、同性婚の賛成・反対に関わらず、「もし、同性婚の場合は、赤ちゃんを生むことはできないのではないか?」という必然的な問いが立ち上がることが予想されます。そのことについて、教師側がきちんと情報を伝えるための準備が必要です。
・価値の押し付けはしない
・情報を正しく伝える
②テストで良い点数をとることが学力であるという価値観をどのように扱うか
テストで100点をとることがすべてだと感じている子ども。その子にとっての勉強の目的はテストで100点をとることとなっていてしまい、勉強本来のおもしろさ(新たなことを知る喜び,物事を考えることができる喜び,考えを更新する喜び)とはちがった価値基準で勉強を捉えている。
そのような価値観をどのように扱えば良いか?
やはり、テストで100点という価値観は、ものすごく狭い見方のように感じます。
上に書いた勉強本来の目的を見失ってしまうことになりかねません。
さらに、間違えから学ぶことができないこと、自分という人間を点数のみによって測ってしまうというものすごく狭まった見方でしか自分を見ることができなくなってしまうようになればそれは大問題です。
点数では見えないけど、それぞれの持っている良さはものすごくたくさんあります。
では、どうしたらテストの点数にこだわる子を大事にしつつも、点数至上主義にならずに済むのでしょうか。
それは、『テストの目的に立ち返ること』だと思います。
テストの目的は良い点数をとることではありません。
勉強した内容を理解することができているか確認するというところにあります。
この辺りは子どもたちに強く訴えていく必要があります。
では、テストの目的に立ち返った時に行う手立てを考えてみると次のようなことがあります。
・間違えたところだけチェックをする→そして「こんなにまだ成長できるところがあるよ!やったね!」と間違いを良いものだと価値づけていく。
・テスト再挑戦システムをつくる
③授業で教師の予想を超える考えをどのように扱うか
教師の予想を超える発言を大事にしたい一方でその発言をどのように活かすかとても難しい一面もある。
多くの場面で見られるのは、「その考えも良いねえ!」と言ってサラッと流してしまうか、「〇〇と似ているね」と言ってこちらも同じようにサラッと流してしまうか。
そうならないために、予想を超える子どもの発言をどのように扱えば良いか?
まず言えることは、“サラッと流す”という行為はあまりよろしくないということです。
自分の考えを言ってくれた子に対してあまり良い対応とは言えないし、その子がなぜその考えを言ったのかに迫っていく必要があります。
その子の発言を大いに活かすための瞬発力が必要だと感じています。
教師の瞬発力を発揮し、その子の発言を活かすために必要なことは次の通りです。
・その発言に対する問いを投げかけ、全体の問いとして考えるようにする
上のとはプラスαで、時には教師の考えを子どもにぶつけ、考えを揺さぶることも重要です。多様な考えの葛藤こそが授業の面白さであり、高次の学びにいくための通過点になります。
『多様性を尊重するとはどういうことか』:議論を通して感じたこと
議論を通して感じたことは主に以下の2つです。
①多様性の尊重する教師こそがその子の視点を広げることができる
②教師が多様性を尊重していないことが大前提
①多様性を尊重する教師こそがその子の視点を広げることができる
議論を通して、“なぜ多様性を尊重することが大切なのか?”の答えが少し見えた気がしました。
それは、本人も周りの人も生きやすくなるためです。
そして、多様性を尊重するために必要なことは、“視点を広げること”だと感じました。
一つの見方・考え方に固執してしまうことは、結局のところ自分を縛ってしまっていることであり、同時に相手も縛ってしまいます。
授業の考え一つにしても、一人の子の生活の仕方にしても、大なり小なりありますが、固執するのではなく、しなやかに視点を広げていくことが大切だと感じました。
また、怠惰な子,授業に集中できない子,給食を食べることができない子の対応でもそうです。
“多様性の尊重だからなんでもOK”とするのは、教師の責任放棄です。
例えば、授業中に怠惰な子について
その子は本当は一生懸命勉強したいし、分かりたいんだけど、様々な理由により“怠惰でも良いや”と勉強をめんどうなものという視点でしか見れなくなっている場合。本人は“怠惰で良い”という価値観かもしれませんが、その価値観はものすごく狭い価値観です。そして、その子も実は根っこには“分かりたい”という気持ちや“勉強したい”という気持ちがあるかもしれません。その根っこの部分に教師が気づき、対応していく必要があります。その結果、その子が“勉強する世界もいいな”と勉強を新たな視点で見ることができ、世界を広げていく、それがその子が多様性を尊重したということの一つであるといえると思います。また、これこそが教師の役割でもあり、多様性を尊重する教師のあり方だと感じました。
②教師が多様性を尊重していないことが大前提
最後は何よりもこれに尽きると思います。
教師のものの見方・考え方を見て、子どもも学んでいくと思っています。
教師が多様性を尊重した関わり方をしなければ、子どもが多様性の尊重の視点に気づくこともできません。
おわりに
多様性の尊重についてここまで書いてきました。
約半年前にも多様性の尊重をテーマにブログに書きましたが、その時に比べ、考え方がさらにグレードアップした気がしています。
これも一緒に学んでくださる仲間のおかげです。
今後もさらにレベルアップしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では!!
以前、多様性について書いた記事はこちらになります。
↓↓↓
【学級づくり】子どもどうしがお互いに理解し合う関係になるために必要なこと②【全ての人が特別な存在&一律でなくて良い】 【学級づくり】子どもどうしがお互いに理解し合う関係になるために必要なこと①【異質ウェルカム】