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【書評】「学力の経済学」を読んで勉強になった5つのこと【良い教育は教育科学的根拠に基づけば成り立つ】

・科学的根拠に基づいた教育って存在するのかな?

・科学的根拠に基づいた学力を上げるための方法を知りたい

・「学力の経済学」を読んだ人の感想を知りたい

こんな要望に答えます。

記事の内容
・「学力の経済学」を読んで勉強になった5つのこと

・「学力の経済学」を読んだ感想

この記事を書く僕は、以下のような人間です。

「小学校の教員をしている」

「子どものエピソード・本から得た学びをもとに自分自身の視野が広がることに喜びを感じている」

「学力の経済学」は慶應義塾大学の准教授であり、教育経済学者として活躍中の中室牧子さんが、科学的根拠に基づいた良い教育のあり方を教えてくれる本です。

今回は、その「学力の経済学」の感想を簡単にまとめました。

この記事を最後まで読んでいただければ、科学的根拠に基づいた子どもへのアプローチができるようになります。

「学力の経済学」:読んで勉強になった5つのこと

「学力の経済学」を読んで勉強になったことは以下の5つです。

①2つの事象は因果関係なのか相関関係なのか見極めることの大切さ

②ご褒美はアウトプットではなく、インプットに与えるべき

③人生の成功において必要なのは“非認知能力”

④学力の格差を生まないための仕組みづくりが必要

⑤良い先生とは、その子の今日よりも明日を伸ばしてやれる先生

順番に解説していきます。

2つの事象は因果関係なのか相関関係なのか見極めることの大切さ

何かの結果について分析するとき、原因は何かを探る際、これは本当の原因なのか疑いの目をもつことはとても大切です。

因果関係とは「Aという原因によってBという結果が生じる」という関係であり、一方で相関関係とは「AとBが同時に起こっている」という関係のことを指します。

出典「学力の経済学」

例えば、「ゲームをしすぎるとテストの点数が下がる」という事例

この場合、本当にゲームをしすぎたせいで点数が下がったのでしょうか?

もしかすると、テストが思うように結果が取れず、ゲーム漬けになった可能性もあるし、そもそもテストで点数が取れないのは授業に集中できなかったり、学習内容に追いつけていなかったり、学習できる環境がなかったりなどのゲーム以外の可能性も大いに考えられます。

 

その子を正しく支援できるためにも、その結果を及ぼすに至った真の原因を突き止めることは大切です。

ご褒美はアウトプットではなく、インプットに与えるべき

本書では

「テストで良い点を取ればご褒美」と「本を読んだらご褒美」のどちらが効果的か”という問いに答えています。

ご褒美は「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだ。

出典「学力の経済学」

つまり、インプットにご褒美を与えた方が学力は上がるという結果になったということです。

結果ではなくプロセスを褒めるってやはり重要なんですね。

また,結果がでないと褒めないとなると、褒められる回数も減るし、あまり良いことはありませんね。

人生の成功において必要なのは“非認知能力”

非認知能力とは「自制心」や「やり抜く力」などの、テストで図ることのできない能力のことを指します。

大人が戻ってくるまで我慢して2つのマシュマロを手に入れた子どもは、我慢できずに食べてしまった子どもよりも、SATのスコアがずっと高かったのです。

陸軍士官学校の訓練に耐え抜くことができる候補生は誰か。英単語の全国スペリングコンテストで最終ラウンドまで生き残る子どもは誰か。貧困地域に配属された新米教師のうち学年末に最も子どもの学力を上げることができるのは誰か。(省略)

「やり抜く力」が高い人は、いずれの状況でも成功する確率が高かったからです。

出典「学力の経済学」

これを聞くだけでも、非認知能力の重要性を感じます。

また、非認知能力を鍛える方法も存在しています。

教師の長時間労働の原因となっている部活動もうまく機能すれば非認知能力を育むための有効な手段になるのです。

あくまで「うまく機能すれば」の話ですが・・・

学力の格差を生まないための仕組みづくりが必要

学力の格差問題は、教師をやっている以上避けては通れない道です。

本書では学力格差を拡大させた要因の一つに“ゆとり教育が関係している”と書かれています。

ゆとり教育により週休2日制ができ、休日の子どもの学習時間に差がでたことが関係しているようです。

 

心に響いた言葉は次の言葉です。

 “行き過ぎた平等主義が格差を拡大させる”

本当にその通りだと思います。

時間と学習の機会を平等にすれば全ての子に教育をしたことになるのか?

それぞれの子が違った背景をもつ子どもたちであり、その子にはその子に応じた支援が必要です。

そのためには、他の子よりも時間も労力もかけて手厚く支援する必要も出てくる場合もある。

そのあたりまで想像力を広げる必要があるなあと感じました。

良い先生とは、その子の今日よりも明日を伸ばしてやれる先生

他の子と比べるのではなく、その子の変化や成長をその子の過去と比べて見れる先生って本当に素敵だなあと思います。

昨今の教員採用試験の倍率の低下により、教員の「質」の低下が問われる中、やはり「質」の改善は緊要の課題です。

少子化が進んでいく中では、少人数学級によって教員の「数」を増加させることよりも、教員の「質」を高める政策のほうが、教育効果や経済効果が高い可能性があるのではないでしょうか。

出典「学力の経済学」

マクロ的な視点で見ればその通りだと言えます。

“この先生から学びたい”と思ってもらえるよう、日々教員としての資質・能力を育んでいく必要がありますね。

子どもが成長に負けないくらい勉強しないと^^;

「学力の経済学」:読んだ感想

教育に関するデータがもっと集まれば良いと思った

客観的に因果関係を証明してくれることは教員としてとてもありがたいことです。

それは、どう教育すれば良いかと迷った時、科学的根拠がその方向を示してくれる一つの役割を担ってくれるからです。

日本は外国と比べ、倫理的にどうなのかという面もあり教育実験は普及してないのが現状です。

今後の動向を追っていく必要がありそうですね。

エビデンスとエピソードを上手に使い分けていくことが大切だと思った

科学的根拠(エビデンス)に基づいた教育が大切である一方で、目の前にいる子どものエピソードを基に教育をしていくことも同時に大切であると感じました。

科学的根拠はあくまでも平均値であり、必ずしもAという支援をしたらBになるとは言い切れません。

また、“そもそもAという支援やBという結果は本当にその子にとって良いことなのか?”という問いに立ちはだかる時だってあります。

例えば、

「教室に入れない子と1時間は教室で頑張ると約束したら(原因)、1時間教室で過ごせるようになった(結果)。」

という事例。

本当にその子にとって、教室で1時間頑張ることは良いことなのでしょうか?

実は、そのことによる精神的なストレスがものすごくその子を苦しめている場合もあります。

その約束って実は先生の目的であって、その子の目的ではないのではないでしょうか?

その場合、その子を権利の主体者として見ることはできているのでしょうか?

その辺りの見極めがとても難しいところではあります。

以上の絵理由から、科学的根拠(エビデンス)を用いるのであれば、“その子にとっての良い”を基に活用していく必要があります。

「学力の経済学」:まとめ

今回は「学力の経済学」について紹介させていただきました。

より深く学びたい人はぜひ本書を手に取ってみてください。

・目次

第1章 他人の“成功体験”はわが子にも活かせるのか?

第2章 子どもを“ご褒美”で釣ってはいけないのか?

第3章 “勉強”は本当にそんなに大切なのか?

第4章 “少人数学級”には効果があるのか?

第5章 “いい先生”とはどんな先生なのか?

では,以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

日々成長!!

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