新年度が始まりました。
一学期の初めには,学級の時間が多くあり,何かと決めることも多いです。
その中で,“係活動”というものがあります。
配り係・生き物係・黒板係・掲示係などなど
この記事を読んでいる多くの方も,実際に自分が小学校時代に係活動を経験されたことがあると思います。
また,係活動は多種多様な係があり,それぞれの学校や学年・学級によってオリジナリティにとむ活動です。
今回の記事では,係活動ではどんなことを大切にしていきたいのかを書いていきます。
目次
1 新指導要領における係活動の意味【役割分担と合意形成】
係活動は,特別活動の学級活動にあたり,指導要領には以下の通りに書かれています。
係活動に関係のある部分を抜粋しました。
1 目標
学級や学校での生活をより良くするための課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践したり,学級での話合いを活かして自己の課題の解決及び将来の生き方を描くために意思決定して実践したりすることに,自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内容
(1)学級や学校における生活づくりへの参画
ア学級や学校における生活上の諸問題の解決
学級や学校における生活をよりよくするための課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図り,実践すること。
イ学級内の組織づくりや役割の自覚
学級生活の充実や向上のため,児童が主体的に組織をつくり,役割を自覚しながら仕事を分担して,協力し合い実践すること。
(2)日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全
イよりよい人間関係の形成
学級や学校の生活において互いのよさを見付け,違いを尊重し合い,仲良くしたり信頼し合ったりして生活すること。
(3)一人一人のキャリア形成と自己実現
ア現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成
学級や学校での生活づくりに主体的に関わり,自己を生かそうとするとともに,希望や目標をもち,その実現に向けて日常の生活をよりよくしようとすること。
イ社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解
清掃などのtプバン活動や係活動等の事故の役割を自覚して協働することの意義を理解し,社会の一員として役割を果たすために必要となること。
新学習指導要領より抜粋
つまり学級活動における係活動は,子ども達にとって『生活をより良くする』という目的がある。
そのために『役割を分担して協力する』
係を決定する過程での,どんな係が必要か出し合ったり,絞ったり,誰がどの係になるか決めたりする『合意形成を図っていく』
ということがあるわけです。
先生は,一人ひとりが役割を自覚しているか,人間関係が良くなっているかという視点で子ども達を見ていくことが大切です。
2 定期的に係のメンバーを変える
係のメンバーは僕はだいたい月に1回の頻度で変えています。
とすると,1年間で約11個の係を経験することができるわけです。
メンバーを変える理由には,子ども達が色んな係を経験してほしいからという理由があります。
黒板係にしても生き物係にしても,全ての子ども達が様々なことを経験すること大切だと思っています。
“やらないのではなく,先ずはやってみる”
その中で子ども達が,“あ,この活動は自分に合っているな”“これは自分には合わないから今度は別の係にしよう”と自己決定していく
これが重要だと僕は考えています。
僕は基本的に,全ての子ども達がどんな活動でもできると思っているんですけどね!
3 係活動の中身を見直す
定期的に係活動の中身について見直す時間も大切です。
見直す内容としては,
①それぞれの係の人数
②新たに必要な係
③必要のない係
などです。
子ども達がこの“見直す”という視点をもっておくと,係活動はより良い生活の実現に向けて必要なものになっていきます。
4 係活動の問題点
“それぞれが役割をもち,より良い生活づくりをしていく”,活動が機能していればこれはものすごく価値のある活動だと思います。
しかし,学級活動において僕はもっと大切なことがあると思っています。
1 自主的,実践的な活動になっているか?
僕は学級活動の目標で一番大切なポイントは,“自主的・実践的な活動になっているかどうか?”という点です。
係活動は,“役割”という点では集団活動をする上で重要な点です。
しかし,基本的に“仕事”という面が強く,人に与えられる感があります。
なので,“自主的・実践的か?”と聞かれると係活動は弱いです。
指導要領には,
“自己の良さを生かす”
“互いの良さを見つける”
“児童が主体的に組織をつくる”
など,まだまだ大切な要素がたくさんあります。
係活動は,“一人で全部の活動をすると大変だから,それぞれ分担しようね”なので,一度係の中身が決まってしまえば,後は分担するだけなのです。
これから必要なのは,自己の良さを活かしたり,組織を自分達で作っていったりする,要は0→1をつくっていくことです。
こんな活動を学級活動の中で,係活動とは別に位置付けていくことがより子どもを生かすことにつながっていきます。
2 答えのない課題を解決するための合意形成の場が必要
係活動での合意形成の他にもっと重要な,そして難しい合意形成が学級にはたくさんあります。
指導要領にも書いてありますが,“課題を解決するための合意形成”です。
係活動の合意形成は案外トラブルもなく,スムーズに進みます。
例外として,やりたい係が重なってしまうことはありますが、、、
しかし,これからは,子ども達が「最近クラスのここが良くないと思う」とか「もっと〇〇のような活動をしたい」と自ら要求を出し,これらの解決に向けて合意形成を図っていく場がより必要になってきます。
世の中を見渡すと答えのないものばかり。そんな答えのない社会をこれから自分の足で他者と協働して歩いていく子ども達です。
そんな答えの見えにくい中で合意形成を図ること,こんな経験を小学校でたくさん子ども達にしてほしいというのが僕の願いです。
5 終わりに 【僕の係活動の概念を覆された話】
係活動で大切にしたいことについてここまで書いてきました。
最後に僕が係活動の概念を覆された話を書きます。
僕が以前見させていただいた研究授業にはこんなものがありました。
係として役割分担しないで,気づいた人がやれば良いじゃんと考える子どもの思いから発した授業です。
本当にこの授業には僕も考えさせられました。
確かに一人ひとりが気づいて行動できるクラスであれば,究極係活動はなくても良い!!
最終的にはそこを目指してやっていくことが重要だなと感じました。
では!!