イケミ先生の『教育への想い』

【授業論】授業のレベルをどこに合わせるか?という問いに答える【そんな答えはそもそもない】

「授業のレベルをどこに合わせるか?」

この質問について教員または教員志望の方であれば一度は考えたことがあると思います。

試験でありがりがちなやつです。

 

この問いは,

①すぐに理解できる人 

②ふつうに理解できる人

③ゆっくり理解できる人

どこに合わせますか?ということを聞かれていますが,この選択肢は大きな落とし穴があります。

①〜③にそもそも答えはありません。

 

僕の答えは,

「どこに合わせるか?そんなものはそもそもない。全員に合わせるんだ!!」

です。

 

ごく一般的な答え方としては,

「公教育は最低限の教育を保障するものだから,ゆっくりな子に合わせます」

というのが一つあります。

気持ちは良く分かります。

 

ただ,「どちらかに合わせる」ということは,一方で「どちらかに合わせない」ということを意味します。

これで“全ての子どもの学びを保障する”と言えるでしょうか???

僕は言えないと思います。

 

「そんなこと言ったって,“全ての子に合わせる”ってそれは理想論じゃないか?」と思うかもしれません。

確かに理想論ではありますが,その理想を追い続けることは大切です。

 

では,“全ての子に合わせる”という考え方について,実際の授業を元に書いていきます。


1 大前提として

①理解に差があることは別に良い

まず初めに,クラスの子どもたちは理解のスピードやその時の能力に差があります。

そして,それは全く悪いことではありません。

僕も絵が下手だったり,ピアノが弾けなかったり,できないことは山ほどあります。

しかし,“まあ,それはしょうがない”と割り切っていますし,決して絵やピアノが嫌いというわけではありません。

全ての人が全てのことを同じようにできたらむしろ恐ろしい世の中です笑

そんなことはあり得ませんので,理解の差はあまり問題ではありません。

人には得意・不得意がありますから!

②“全ての子に合わせる”は“全員が一律に同じようにできるを目指すもの”ではない

全ての子というと,全員が同じように勉強できるようになるという意味で捉える方もいるかと思いますが,そうではありません。

最低限は保障しつつも,後は伸びたいだけ伸びてねというのが僕の考えで,伸びたい子にはどんどん手を差し伸べていきます。

2 授業において“全ての子に合わせる”ってどういうこと?【お互いの良さを生かす】

①理解の早い子が理解に遅れのある子を助ける

子どもによって理解のスピードやその時の能力に差があるということについては上で書きました。

これを前提に,算数の授業を具体にして考えていきます。

 

前の記事にも書きましたが,

『異分母どうしのたし算の仕方を考える場面』www.ikedisk.com

同分母でのたし算ならできる子どもたち

「これまでの問題と何が違う?」と授業者が問うた時に,

「この前までは分母が同じどうしのたし算だったけど,今回は分母が違うどうしのたし算」

と既習と比較して考えられること

また,「どうすればたすことができるの?」と授業者が問うた時に,

「通分すれば良い!!」と問題解決の方法を既習を元に考えられること

これらは,場合によっては少し高度な発問です。

特に下の問題解決の方法を編み出すのはなかなか難しい。

理解にゆっくりな子や既習と結びつけて考えることが苦手な子にとっては特に・・・

そんな時は,そういうアイディアを思いついた人から,“通分すれば良い”というアイディアをもらえば良い。

自分で思いつかなければ友達かあ教えてもらう。

友達の考えを参考にすることで,その子は異分母どうしのたし算の計算の仕方をマスターすることができます!!

“問題解決の方法は自分の頭で考えて導かなければいけない”という考えの方もいるかもしれませんが,それは難しい場合もあります。

僕は,お互いに知恵を出し合ってゴールに向かえば良いという考え方です。

この点については,理解の早い子が活躍する場です。

②理解に遅れのある子が理解の早い子を助ける

異分母どうしのたし算の授業をやっていると,問題が解けた後に,ものすごく面白い問いをもつ子がいます。

例えば,「なんで通分するの?」という問いです。

確かに言われてみればそうです。

大人になってみると“通分は当たり前”になっていますが,よく考えてみると通分の必要性って上手く言語化するのって難しいです。

そして,こういう面白い問いをつぶやく子って“理解に遅れのある子”が経験的に多いです。

すぐに理解できてしまう人は,“問題ができればオッケー”というところもありますからね。

「なんで通分するの?」は分数の本質に迫る問いです。

この問いをもつことができたということだけで,問題発見は◎です。

理解に遅れのある子のふとしたつぶやきによって,算数の授業が“問題を解く算数から,計算の意味を問う算数”に生まれ変わり,問題が解けて満足の理解の早い子たちの学びをさらに発展させてくれます。

3 “問い”と“問いの答え”はみんなで共有【全ての子に合わせる】

“異分母の分数の計算てどうやるの?”これは誰しもが抱える問いのはずです。

こんな形に授業全体のゴールの問いは,全ての子に合った問いになっていることが望ましいです。

問い=授業の目的でもありますから。

 

また,異分母の分数の“計算スキル”は全員に最低限度保障する必要があります。

スキルレベルのことは,全員が最終的に習得しておいた方が良いです。

“全ての子が理解できるようにすることに関しては,こちらが責任をもってサポートしていきたいです。

4終わりに【教室は助け合う集団】

授業のレベルは全ての子に合わせるということについて書きました。

①いろんな子に位置づくように,先生はあの手この手で価値づけをする

②集団の中で助け合う文化“凸凹(得意・不得意)を支え合う”文化を育てる

この2つがあると,“全ての子に合わせる”ことができるようになります。

また何かご意見がありましたら,お聞かせください。

では!!

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