・算数における問題解決型授業の流れについて知りたい
算数の授業は、問題から問いをもつところの流れとか、既習と帰着して考えられるための手立てとか、必要な視覚教材や教材(学習プリントや具体物・半具体物)は何か、考えの共有の場をどうしたら良いか、振り返りはどのように行えば良いかなど本当に考えることが多いです。
かつ、子どもがどこに問いをもつかも予測することもあります。
“計算の仕方なのか?”“その答えになった計算の流れなのか?”“計算そのものの意味なのか?”そんな子どもたちの疑問に算数的な視点をもちつつも子どものつぶやきや姿から柔軟に問いを見つけ、柔軟に授業を展開していく必要があります。
このように考えると、算数の授業は本当に難しいです。
本記事では僕が“子どもが問題解決のサイクルを回しながら、自ら学ぶ算数” を目指して、どのようなことを意識して授業を行っているか紹介したいと思います。
・算数の問題解決型授業の流れ
・単元内自由進度学習について思うこと
・予定していた導入で興味をもたなかった子への対応
この記事を書く僕は、以下のような人間です
「小学校教員をしている」
「クラスでの練り上げ問題解決型の授業がものすごく好きで価値があると感じている」
算数の問題解決型授業で大切にしていること【問題解決のサイクルをイメージして】
問題解決のサイクルをイメージ
基本的に算数の授業は次の流れで行います。
基本的にこの流れは算数の授業だけでなく、どの教科でも使うことができます。
具体的な学習の場面
では,次に具体的な場面を一つ例にして考えてみます。
今回は5年生の【異分母の分数のたし算】を例にしていきます。
C→子ども T→先生
ここまでの既習事項
4年生の時に分数のたし算を勉強しており,同じ分母なら足すことができる
5年生の時に通分を勉強した
①問題:1/4+1/3を計算しましょう
T:これまでの分数のたし算と比べてみてどう?
C:分母の大きさが違う,これどうやってやるの?
C:答えは2/7?
C:2/7ってそんな小さくなるわけなくない?
②問いの立ち上げ
“分母の大きさがちがう分数のたし算はどのようにして求めることができるか?”
③考えるための方法(カギ)を出し合う(図・式・言葉)
T:今みんなが困っているところはどこ?
C:分母が違うところが困っている
C:あれ?それなら分母を揃えれば良いんじゃない???
“分母を揃えて計算しよう”
④考える
C:1/4+1/3=3/12+4/12=7/12になった。
T:本当にそうなるのか図とか実際に水を入れたりして確かめよう
あるいは
T:どうして通分するの?
⑤ふりかえり
C:分母の大きさが違う分数のたし算は分母を揃えて計算すれば良い
C:ひき算も同じようにやれば良いのかなあ?
C:今度は分数のかけ算とかわり算もやってみたい
ザッとこんな流れを僕は毎回の授業で意識しています。
ただ、この通りにスムーズにいくわけはありません笑(それがおもしろいところであり、教師の腕の見せどころですが)
どちらにせよ、ある程度ゴールイメージをもって問題解決を子どもと一緒に楽しみたいなあと思ってます。
注意点
先ほども言いましたが、これは全部が全部こんなふうに行うわけではありません。
あくまで、“問題解決に特化した”算数の学習スタイルです。
実際は、もっとゲームっぽくしたりして子どもが楽しみながら算数を学べるようにするなど、その時々で工夫が必要です。
単元内自由進度学習という方法について解説【メリットとデメリット】
近年、新しい学びの形として、一斉授業ではない様々な学びの形が取り入れ始めています。
その中で、今回は「単元内自由進度」という学び方について紹介したいと思います。
この学び方については、多くのメリット、一方デメリットもあります。
自分のペースで自律した学び手を育むことが目的
そもそも単元内自由進度とは、従来の一斉学習ではなく、個別で自分のペースで勉強するというやり方です。
以前ツイートで、自由進度学習の良さについて下のように書きました。
算数の自由進度の良さ
自由進度の目的は
①自分のペースで学べる
②自律した学習者を育てる
③自分のレベルに合った学びができる
④効率的— イケミ先生〜ブログ毎日1更新〜 (@ikedisk) 2020年5月14日
単元内自由進度の目的はあくまでも「自律した学習者を育てる」ということです。
単元内自由進度では、その授業の目標も方法も自分で決めるわけですから、その日どのように学ぶかは子どもに委ねられています。教師が行うことは、子どもが学びやすくなるための環境整備と、個別の支援です。
なので、これまでの全員で問題を立ち上げ、お互いの良さを出し合いながら問題を解決していくという言わば「練り上げ型授業」とは目的も方法も違った新たな授業スタイルです。
QubenaというAIアプリ
メリット【コンテンツの確実な習得】
Qubenaというアプリも先進校で早くも導入されていて,このアプリを使えば自分のペースで学べるし,効率的に学ぶこともできるなど評判がかなり良いです。
実際に、これまでの授業時間の半分以下の時数で内容を終えたという話もありました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓↓↓

デメリット【資質・能力は育まれるのか?】
単元内自由進度について僕は、同時にこんなツイートもしました。
でも、、、
自由進度で、既習と帰着して思考したり、説明したりすること可能なのかな?
完全に自分のペースでやると、問いもなくただの作業になってしまうような気がする①算数の面白さに気づく
②生活に使われていることからの学ぶ意欲をもつ
③思考のサイクルってまわすこれができない気がする
— イケミ先生〜ブログ毎日1更新〜 (@ikedisk) 2020年5月14日
また、Qubena上の記事にもこんなことを書きました。
これからどんどん進化してくるかもしれないし、そもそも実際に使ったこともないから何とも言えないが,QubenaはAIが個々の苦手分野を解析してくれて一つ一つ丁寧に教えてくれるわけだから、知識・理解ベースに大きく寄っているように思う。これからの資質・能力育成ベースになった時に、それで良いのかなあ?とも思う
資質・能力育成ベースで考えると,必要なことって大きく3つある。
A事象を数理の世界にもってきて問いを立ち上げる→問題発見力
B問題を解くために使える“既習”という名の武器を色んな武器の中から“これが使えそう”と頭の中から拾ってきて解く→既習と問題を結びつける力
C出てきた複数の考え方を統合的・発展的に捉える→思考力,判断力
簡単に言うと数学的な思考法みたいな感じかな。理科にも課題探究のサイクルっていうのがあるけど、算数でもそのサイクルの経験を積んでその思考法を獲得するって重要な気がする。Qubenaって教えてくれるイメージがあるからA〜Cの要素が果たしてあるのか疑問。ま、全ての内容についてそういったA〜Cのことできるわけないけど、時にはそういう算数の思考法を育む場っていうのも必要だとは思う。
一見自分のペースで学べることはものすごくそれはそれで良いように見えます。
しかし、このように機械的に学んだ学力は短期的なものであり、すぐに忘れてしまいます。また、日常生活や別の問題に出会った時に生きて働く学力にはなり得ません。
学びとは本来、それぞれの個人の思考・学びの必然性を出発点として、感情を伴って得られるものなのです。
このような学びこそが学校では必要であり、これまでの学校教育で大事にされてきた学びの本質であると僕は思っています。
自由進度学習はどういう目的で誰のためにやるかが大切
算数の苦手な子に寄り添うことはすごく大切
“新しいことを勉強する→既習を理解していないから分からない→新しい勉強も結局分からない→算数嫌い→勉強つまらない”
このような悪循環に陥っている子には、是非ともQubenaを使わせてあげたいなあと思っています。
そして自分のペースでゆっくり学ぶことができる自由進度学習はかなり良いなあと思います。
また、このような子は既習の何を使えば良いか考えることも難しく、まして友達に考え方を説明することも難しいです。
そんな子には、自分のペースでAIソフトに苦手ポイントをもう一度教えてもらいながら着実に力をつけていく方が良いです。
そして、少しずつ自信をつけていければ何よりでう。
算数の得意な子は,逆に一斉授業の方が良い?
A問題発見力・B既習と問題を結びつける力・C思考力,判断力のある子は、友達と対話しながら考えを深めていく算数を行なっていった方が力がつくような気がします。
“難しい問題を図や言葉,式を使って友達に分かりやくすく説明する”
“それぞれの考え方を統合的・発展的に考える”
これらは,テストで100点をとるよりも高度ですし、社会に出ても必要になってくる力です。
AIに頼らない方がこのような力は伸びそうです。
おわりに【子どもと対話しながら変えていく】
算数での授業方法について例をあげました。
それぞれの実践でいろんな良さがありますが、その時々で子どもと「どういうふうに学びたい?」「どういうのが学びやすい?」といった感じで対話しながらより良い学び方を一緒に探っていくということが大切のように感じます。
僕自身もっと勉強しないとです(^^;;
最後までお読みいただきありがとうございました。
では!!
算数の導入についてはこちらの記事をご覧ください
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