・子どもたちにとって、より良い学校のあり方について考えたい
先日、大阪府の高校で女子生徒が髪の黒染を強制させられたことが原因で不登校になったことを大阪府に訴えたことによる裁判の判決がありました。
参考 地毛なのに黒染めを強制された女子生徒が大阪府を訴え「指導に違法性はない」と判決Yahooニュース判決の結果は次の通りとなりました。
- 黒髪指導をすることについて、正当な教育目的で定められた合理的な物で、学校が生徒を規律する裁量の範囲内←学校側
- 生まれつき髪の毛の色が茶色だということだったが、教師が調べた時は根元が黒色だったという学校の言い分も通り、違法性はない←学校側生徒
- 不登校になった後、その生徒の机を教室から撤去したり、座席表や名簿から名前を消したことについては罰金33万円を支払う←女子生徒側
これらから分かるように、学校側は座席表や名簿から名前を消したことによる罰金のみであり、校則については大きな問題であるという判決には至りませんでした。
校則の問題について裁判が起きてしまうことや、判決の結果を見て僕が感じたことを本記事では書いていきます。
・全ての校則が悪いというわけではない
この記事を書く僕は、以下のような人間です。
「小学校教員をしており、理不尽な校則に疑問を感じているが、どのように学校文化を変えていけば良いのか悩んでいる」
「子どもたちが自分たちで校則やルールを決めていくことが大切だと感じている」
「教師の役目は、子どもたちをもっと信じることだと感じている」
以前も別の記事に書きましたが、僕のようないち教員でも、疑問に感じていることがあれば、「これって何のためにあるのかな?」「これは本当に必要な拘束なのだろうか?」を正直に発信していくことならできます。
【学校ゆるくていいじゃんがトレンド入り】理不尽な校則が存在し続ける理由について考える↑
名古屋大学准教授の内田良先生にも引用リツイートしていただいた記事です。
校則についても多様な意見があるかと思いますが、子どもの幸せを願うという点においては一致しているはずです。その一致点は大事にし、校則についても子どものことを思ったより良い方向に変えていけると良いなあと感じています。
この記事が校則のあり方・学校のあり方についてさらに考えるきっかけなればとても嬉しいです。
目次
【黒染指導の校則は裁量範囲内】判決の3つの問題点
僕が感じた判決の問題点は次の通りです。
①校則を守らせる以前に子どもを大切にしていない
②学校と生徒の対立構造になってしまうことが悲しい
③校則指導の裁量の範囲が大きすぎる
順番に解説していきます。
校則を守らせる以前に子どもを大切にしていない
今回の判決を見て僕が気になったのは、
『不登校になった生徒の机を教室からなくしたり、名簿から削除した』
ということです。
学校側は不登校の生徒が目立たないようにするために配慮したという理由からそのような対処をしたということですが、これらの対処はその生徒の人権を大きく無視した対処だと感じました。
もしそれがその生徒の了承もなしに勝手にしたのであれば、なぜその対処をしたのか本当に理解に苦しみます。
その生徒の本当に大切にしていたのでしょうか、、、
また、この対処の仕方に、生徒をどのように見ているのかがはっきりと滲み出ているような感じが僕はしました。
その生徒のためを思って配慮したというものの、結局のところ学校にとって都合の良くない生徒を排除し、表面的な“見た目や行動”でしか生徒を評価していないのではないかと感じました。
その生徒が元々黒髪だったのかどうかは定かではありませんが、そういうこと関係なしにその生徒がものすごく困っていたということは間違いありません。
その心の声に耳を傾けたのか疑わざるを得ません。
それと同時に、僕自身、子どもの心の声に常に敏感でありたいなあと感じました。
生徒と学校の対立構造になってしまうことが悲しい
今回のように生徒vs学校の対立構造での裁判沙汰になってしまうことがそもそも悲しいなあと感じました。
本来は学校は生徒のものであり、生徒が自分たちの生き方を形成するための場所であるはずです。
それなのにも関わらず、なぜ生徒が学校と戦っているのでしょうか。
“学校は自分を成長させてくれる”、そう生徒が感じることが一番大切だし、そこを目指さなければいけないと思っています。
また、校則があることによる得は誰がしているのでしょうか。
細かい校則を守る生徒たちはもちろん大変だし、そのような細かいところまで管理し守らせ、その校則から逸脱すると指導をしなければいけない教員も大変なのではないか?と感じています。
“管理しなければ子どもが荒れる”と言いますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。この辺りもこれから学んでいく必要があるなあと感じました。
校則指導の裁量の範囲が大きすぎる
今回の髪色チェックを含め、学校の裁量範囲を見直していく必要性を感じました。
黒髪かどうかチェックはまだマシな方であり、もっと最悪なケースは下着の色チェックをしている学校もあるようです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/324fb4b8ee48cbeac3ae931a98c5107fe500f9f4
また、日焼け止めやリップクリームという本来自分の体を守るためにあるはずのものも学校では禁止という校則まで存在しています。
日焼け止めという自分の肌を守るものも、学校ではなぜダメなのでしょうか。
そういった校則の裏には、子どもに対する偏見の目がものすごくあるように感じています。
校則の決め方も、生徒の合意をとらず、学校の職員会議で生徒指導主事の先生中心に決めたものがほとんどです。一方的に決めた理不尽な校則をなぜ守らなければいけないのか、そのあたりの理由を生徒にきちんと伝えていけるのかが守らせる側の責任です。(僕の場合、なぜ生まれつき茶髪の人が黒染をしなければ分からないので、おそらく守らせることはできませんし、髪色について生徒に否定的なことは何も言わないだろうと思います。)
校則を決める段階に生徒も入れるという先進的な取り組みをされている学校も近年出てきていますが、そういった学校はまだまだごくわずかです。そのような民主的な学校がどんどん増えれば良いです。
全ての校則が悪いというわけではない
判決を見て感じた問題点についてここまで書いてきましたが、必ずしも全ての校則を否定したいというわけではありません。
校則は子どもの安全や秩序を保つための重要な役割を果たしています。
例えば、小学校では子どもの安全を守るために次のような校則(きまり)があります。
・「低学年のうちは自転車で行動して良い範囲が決まっている」
・「放課後、子どもたちが遊んだ時に時期によって帰る時刻が決まっている」
・「廊下は走らない」
安全に生活できるようにするために、“校則だから”という理由ではなく守らせる責任が教員にはあると思っています。
子どもたちが事故・事件にあったら本当に切ないし悲しいです。そうならないためにもここは少し管理的になってしまいますが、指導することも必要だと感じています。
校則(きまり)や、その校則が存在する意味について子どもたちが理解して納得した上での話ですが、、、
おわりに【校則に関する議論が突如として増えてきている】
校則指導に関しての話題がここにきて突如として増えてきています。
堀越高校の恋愛禁止の校則に関する裁判
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d8c623446dfd84f818b855bf47cd41810aef29b
福岡の学校での下着の色指定の校則について
https://news.yahoo.co.jp/articles/f13e6326c03edea7367b89955340e030237ae196
今後ますます校則については議論が活発化されていくことが予想されます。
一人ひとりが校則を含めた色んなことに違和感を感じ、表出していくことが大切だと感じています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では!