この記事の内容
この記事は,学習規律と自律の関係について書いています。
前回の記事で,学習規律とは,
①大人の都合により学習を効率的に行うために必要なもの
②生活していく上で必要なこと
の2つあることについて書きました。
まだ読まれていない方は,こちらの記事をご覧ください。
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この学習規律は,小学校高学年になれば多くの子どもたちが獲得していきます。
では,学習規律を身につけた=自律したということになるのでしょうか??
このことについて,この記事では考えていきたいと思います。
目次
1 そもそも自律って何?【自律=自分の規範に従って行動すること】
インターネットで「自律」の意味を調べると次のように出てきます。
自分の気ままを押さえ、または自分で立てた規範に従って、自分の事は自分でやって行くこと。
重要なポイントは,主語が「自分」ということです。
つまり,誰かから与えられたルールではなく,自分で善悪を判断して行動することを「自律」と言います。
2 学習規律を身につける=自律か???
この問いへの答えは,半分Yesで半分Noです。
なぜなら,「自律」の言葉の定義に基づくと,
「当事者が本当に必要だと感じてその行為をしているかどうか」
が重要だからです。
前回の記事で,学習規律は 例えば,以下のことがあると書きました。
①学習を効率的に行うために
・チャイム通りに行動する
・遊びたい子は我慢して勉強する
・時間割で決まっている通りに勉強する
・手はお膝の上につく
・オシャレをして学校に来ない・髪の毛の色は黒
・学校に必要のないものを持って来ない
②自分や相手のために
・誰かが話している時は静かにする
・姿勢を良くする
・授業中,必要な物以外は机の上に出さない
②の学習規律は,子どもが今後生活していく上で重要なことなので,大切にしていきたいところです。
しかし,①の学習規律は,“子どものため”と言いながらも結局は大人の都合です。
オシャレしないや髪の毛は黒色なんかは特にそうです。
子ども側に立つと,「オシャレをしたいのに,先生に怒られるから,理由はなんかよく分からないけどできない」と思う子もかなりいます。
また,時間割に沿って全ての教科を勉強する理由も大人の都合です。
勉強する意味を感じていない子も一定数います。
「何で国語や算数,社会,理科の勉強しなければいけないの?」という子ども声がまさにそれを象徴しています。その言葉の裏には,「こんなもの将来何に使うんだ?」「自分はもっと他のことをしたい」ということを思っているのではないでしょうか。
つまり,学習規律において子どもが自律しているか自律していないかの線引きはこうです
子どもが,先生や友達の言ったことを重要な価値だと感じ,自ら率先して学習規律を守るのであれば自律していると言えます。
逆に学習規律の価値も分からないまま,自分以外の何者かに強制される,あるいは怒られる恐怖から学習規律を守ることは自律していないと言えます。
3 「自律していない=悪」ということではない
後者の自律していないということについて,その理由には2通りのパターンがあります
①人間的な弱さが勝ち,学習規律の価値を感じているけどそのように行動できない
②そもそも学校的な学習規律の価値観に必要性を感じていない
この①と②の見極めはとても大切です。
これによって支援の方向性が変わるからです。
①のような子は,全力でサポートします。はじめは他律でも良いので,どうやったら自分の納得がいくような行動ができるか一緒に考えていきます。
②のような子は,まず,その子の価値観を尊重します。なぜなら学校の価値観が絶対的に正しいわけではないからです。その子が正直に自分の価値観を主張することはすごいことです。
また,②のように感じている子を大切にすることで,同質性が激しくならずに済みます。
同質性が激しくなることには,とても多くのデメリットが存在しますが,今回は割愛します。
学校には,まだまだ学校の価値観や先生のもっている価値観が絶対的に正しいというような指導をする先生がいます。そして,そのように子どもを枠の中に入れることができる先生を指導力のある先生と周りがいう風潮もあります。
これには気をつけたいです。
4 おわりに【学習規律=自律にはまだまだ答えが出ない】
学習規律が身についた=自律なのかどうかについて書きました。
途中で,“先生や友達の言ったことを重要な価値だと感じ,自ら率先して学習規律を守るのであれば自律”と書きましたが,これって良いことなのか?とも時々頭を悩ませます。
結局,子どもが価値を感じても,それは学校という場があの手この手を使って,子どもに価値を押し付けているからではないか?と思うからです。
学校ならでの価値観(服装や頭髪の制限・時間割を守る・教科を全部勉強する)は特にそうです。
頭を悩ませづづも現状ではどうすることもできないので,それが難しいところです。
学校ってなんなんでしょうか???
今後も考えていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では!!