近年,全国的に小学校高学年での教科担任制や中学校での学年担任制の実践が出てきている。
今回は,教科担任制・学年担任制について考えていきます!!
目次
1 教科担任制・学年担任制度って何?
全ての教科の授業を一人の担任が行うことをやめ,一人が特定の科目を担当し,複数の学級で授業を行っていく仕組みのことをいう。
中学校ではこの方法が一般的だが,これを小学校高学年でも行うというものだ。中教審でも2022年から教科担任制を6学年に本格的に導入していくという方針を打ち出している。
従来の一クラスに一担任といった固定担任制を廃止し,全ての先生でその学年・クラスを見ていくといったものだ。1年間A先生は1組担当ということはなく,期間ごとに担任が順番に入れ替わる場合もある。
2 なぜ教科担任制・学年担任制が話題になっているのか?
1 それぞれの専門教科の授業を行うことができる
まず教科担任制について,小学校であれ高学年になってくるとそれぞれの教科でも専門性は増してくるから,それぞれの専門の先生が授業を行った方が良いという理論である。
2 学級という息苦しさを感じている子どもの負担を減らす
また,子どもと担任がうまくいかなくなってしまった場合,教科担任制にすることによって,その子と実際の担任の先生が一日中会う必要がなくなり,その子にとって居心地の良い生活ができるという理由もある。
3 子どもが困った時に相談しやすい環境に!!
学年担任制についても上と似たような理由で,子どもと担任の関係がうまくいかなかった場合が大変ということや,学年担任制にすることによって,子どもが困った時に相談しやすい先生を選ぶことができるという理由がある。
また,若手の先生とベテランの先生のクラスで指導力にバラツキが出てきてしまうことも懸念され,平等に子どもを見ていけるようにすることで子どもにも保護者にも安心感をもってもらうことができる。
3 どのような教科担任制・学年担任制が良いか?
上に書いたように,それぞれの制度にはかなり大きなメリットがある。
しかし,“メリットがあるからじゃあやろう”ということはかなり大きな落とし穴がある。それも上からのトップダウンでこういう制度を行うように指示を受けると現場からはかなり大バッシングがあることは間違いない。
“別に現状のままでうまくいっている”
“固定担任制ならではの良さがある”
“子どもが話しやすい環境にするって,よじれた担任との関係は良くならないんだから本質的な解決にならないじゃん”
など様々な不満が出るだろう。
1 固定担任制の良さもある
実際に固定担任制ってのもけっこう良い。それぞれのクラスのカラーが出るし,隣のクラスはプログラミングをしているけど,自分のクラスでは農業体験をしているなどお互いに刺激し合うことができる。一人ひとりの活躍する場をつくることができる。
2 その場にいる全員が納得する形での導入を!!
結局のところ,上からのトップダウンではなく,現場の先生が教科担任制・学年担任制が必要かどうか見極めて,必要であれば行っていけば良いと思う。あくまで一つの選択しにすぎない。(流動性は大事にしたいけど)
学年ごとに十分に吟味して,全員が納得すれば行うというのが良いと思う。
この“全員が納得”ということが超重要。
納得しないで制度ありきで行ってしまえば,必ず後で不満が起きる。
どうかトップダウンではなく,学年でより良い方法を探っていけるような現場であってほしい。
教師の教育の自由化こそが目の前の子どものためになるんだから・・・
4 終わりに
新しい実践をそのまま鵜呑みにするのではなく,目の前の子どもの実態に合わせて実践を行っていくことが大事で,教科担任制や学年担任制もその中の選択肢の一つとして使っていけると良いのかなあという感じです。
教科担任制を始めて3年目が終わりました(長野県です)。3~4クラスの学年内で教科担任制を行うと、一日の半分は学級担任の授業になります。始まる時には、様々な意見がありましたが、始まって1年たつと、職員も児童もメリットが大きいと感じていました。職員は授業準備の時間を減らし、より専門的な内容を提供できます。また、児童の方も、気持ちがリフレッシュされて、適度な集中ができます。個別に配慮が必要な場合も、職員間での情報共有も進み、生徒指導的にも良かったですね。不登校傾向は減っています。
追伸で、小学校の学年担任制は、双方にとってリスクが大きかったです・・・
コメントありがとうございます!
小学校ですでに3年も教科担任制を実施されているんすか!?
それは早いですね!
やはり教科担任制はメリットの方がデメリットよりもありそうな感じがします。
学年担任制のリスクが大きいとは具体的にどのようなことか教えていただきたいです。
教科担任制の三年目で、2ヶ月ほど学年担任制を試行しましたが、どうも小学生にとっては担任が心の安定になるのか、不適応が増え、様々な場面で不安の訴えや攻撃性の強化など、人間関係のトラブルが増えました。
クラス替えをして1年目の五年生に顕著に出ましたが、2年目の六年生では影響がないように感じました。こちらはしばらくやってみないと分からないですが、その間に不登校などが増える危険があるので、お試しにしても、短期での試行がいいと思います。学年担任制(正式には学年職員分担制度でしたっけ?)の狙っているメリットなら、教科担任制度で同じものがあると感じます。
いやあ、貴重な情報ありがとうございます!
一度やってみて合わなかったから前の形に戻すというスピード感がすごいですね!
本当に尊敬します⭐️
ちなみにもう一点教えていただきたいのですが、そういった教科担任制や学年担任制は、どの立場の方が舵を切るんですか?
管理職からのトップダウンなのか、学年での相談なのか、、、